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自家製干物でいつもの朝食が
おいしく、ちょっと贅沢に!
魚は干すことで脂がのって旨味がアップします!
自分で干すから市販品にはない、おいしい干物が味わえます。
まずは脂がのっている
旬のアジを干しましょう。
ふわふわの身に驚きますよ。
干物は昔からある日本の保存食です。干物にすることの利点は、生よりも旨味が増すこと。栄養価がアップすること。太陽の日に当てて作る魚の干物には、昔ながらの知恵が生きています。
生アジ100g中には、およそ、たんぱく質20mg、脂質27mgが含まれていますが、干物にすると、たんぱく質は43mg、脂質は59mgと2倍以上に増加します。また、カルシウムや鉄分も効率よく摂れます。
魚を食べると 良いこといっぱい!
島国の日本は四方を海に囲まれ、昔から穀類と魚介をたんぱく源としてきました。お米と魚が日本の食卓の定番でした。魚には、脳を活性化する「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や血液をサラサラにしてくれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」という魚独自の脂肪酸が含まれていて、特に「EPA」は動脈硬化の医薬品にもなるくらい効果が認められています。
現代人は、つい忙しさから簡単な食事やパン食になりがちですが、週1回でも魚を食べるようにすると、脳の働きを良くしたり、成人病やアルツハイマー予防、抗アレルギー作用などの効果が期待できます。
子どもの脳の発達にも「DHA」は欠かせない栄養素で「頭の良い子に育てるには離乳食にも魚を使い、特に5〜6歳までの幼児期にはDHAを多く含んだ魚をたくさん食べさせると良い」と言われます。
意外と簡単。自家製干物
晩秋から春先の気温が低い時期は、魚の干物が最もキレイに仕上がる時期です。干す時間はある程度水分が蒸発して、身の表面がべと付かなくなるくらいが目安です。 スーパーなどで新鮮なアジを見かけたら、ぜひチャレンジしてみてください。意外と簡単に作れます。まずは、一番ポピュラーなアジから始めてみましょう。自家製干物は市販の物とは全然違って、身がふんわりしておいしいですよ〜
ちょっと贅沢な
干物朝食&干物晩酌
自家製干物の良い所は、何と言ってもおいしい! ことです。市販の干物は固めだったりパサパサしていたりする物もありますが、自家製なら、新鮮な魚を選べて、塩水に漬けたり干す時間もある程度調整できます。手間は掛かりますが、きっと旅館の朝食にも負けない、おいしい干物が作れますよ。
いつもより少し時間をかけて、おいしい干物とごはんと味噌汁があれば、ちょっと幸せな朝食になりそうですね。晩酌にも焼くだけで簡単にちょっと贅沢な干物のつまみができます。
春本番の日中に気温が上昇する時期には、早起きして午前中の涼しい時間に干すのが一番です。休みの朝に多めに干しておけば、冷凍保存もできるので効率的です。
基本になるアジの干物を紹介します。大概どんな魚でも腹開きにして開き干しにできますが、
アジやサバのように上口の魚は、腹開きが基本です。鯛類のように下に口がある魚は背開きの方が見栄え良くできます。
アジに慣れたら他の魚もチャレンジしてみてください!
ウロコを取り、腹を割って内臓を取り出し、ざっと水洗いする。
肛門から包丁を入れて尾の付け根まで腹身を切り開く。
中骨と腹骨の接合部を切りながら背身を開く。慣れないうちは腹部を少し上に向けるとやりやすい。
背の皮1枚を残して尾の付け根に向かって背身を切り開く。
続いて、中骨を避けるようにして頭の中心線に包丁を突き立て、少し力を入れて半分に割る。
ここで頭の左右に分かれたエラをちぎり取る。
歯ブラシを使って、流水の下で中骨の血ワタや頭に残っている内臓、黒い腹膜を手早く掃除する。
アジの腹開きの完成。
約8%の塩水を作ります。
用意するものは、水1リットル、粗塩80g、日本酒50ccです。
をすべて混ぜ、アジを30分間漬ける。脂の乗りが良いアジは、40〜45分間と少し長め。
軽く水気を拭き取り、風通しの良い場所で4〜7時間程度干す。
朝から日が沈むまでの間に干し上げるようにする。身の表面にペットリ感がなくなり弾力が増せば完成。
自家製の干物は冷蔵保存で3〜4日以内に食べきるようにします。長期保存する場合は、ラップに包み、
調理用ジップバッグで密封し、冷凍保存します。冷凍の場合は1〜2ヶ月以内に食べきってください。
果物の果汁がギュッと濃くなる
干しりんご、干しみかん
乾燥していて風も適度にある冬は、干すのに最適な季節です。
干す初心者でも簡単でおいしい自家製ドライフルーツを作ってみてはいかがでしょう。
くにゃくにゃ干しりんごもパリパリ干しみかんも
濃厚で爽やかな甘味です。
昨年の発酵する一年は、乳酸菌をはじめ、納豆菌に酵母菌と、菌が大活躍の楽しくおいしいテーマでした。その自然の中にいる菌の発酵から、もっと身近な自然へ目を向けて食を考えるのが今年の「干す一年」です。身近な自然とは、太陽と風です。干した食べものといえば、切り干し大根や鯵の開きなど、家庭料理の定番中の定番。日本人には馴染み深い料理ですね。今年はいろいろな食材を「干す」というテーマで考えてみたい思います。
一番の目的は、
「旨味」と「保存」
実は、発酵も干すも「旨味が増す」「長く保存できる」という同じ目的があります。発酵もそうですが、昔ながらの太陽の力を借りて干す知恵も素晴らしいですね。
干し野菜研究家の廣田有希さんに教えて頂きました。「干すときに、太陽に当てるのはカラッと乾燥させるためと、野菜や果物によって違いがありますが、紫外線の影響でアミノ酸が増して旨味が増加したり、抗酸化能が増加するからです。」昔から太陽の下で干すのには理由があるのですね。
自家製ドライフルーツ を作ろう
冬はりんごやみかんがおいしいですね。箱で買ったり、たくさん戴いたりすることもよくあります。なかなか食べきれない…。腐らせてしまう…。そんなときこそチャンスです。干してみましょう!
りんごを干すと甘酸っぱい味が凝縮して、噛めば噛むほどおいしいドライフルーツができます。砂糖も使わない、干すだけのドライフルーツだからヘルシーですよ。
1日干したりんごは、指で曲げるとくにゃっと曲がります。4〜5日干すと水分が抜けてカサカサします。自家製ドライフルーツは、干し加減も自分で決められるので、セミドライにしてちょっとジューシーさを残したり、完全に乾かし切ったり、好みで楽しめるのが良いところです。
干しりんごがあれば
砂糖いらず!
干したりんごは驚くほど甘くなります。廣田さんは干しりんごを細かく刻んで、砂糖代わりに料理の甘味料として使っているそうです。この甘さ、一度食べたらやみつきに。よく噛むのでお子さんのおやつにも最適です。
みかんを丸ごと干す
みかんの皮は腐りやすく、時間が経つとぼやけた味に。そんな時は、みかんの皮を全部剥いて干してしまいます。1日干すと味が濃くなって薄皮が紙のようにパリパリに。おもしろい食感でおいしいですよ。
干すの入門編
冬の太陽をいっぱい浴びた旬の果物の味をぜひ味わってください。
簡単焼きりんご
干しりんごをバターで焼き、シナモンを振りかけたら完成の簡単焼きりんごです。干している分、水分が少ないので、すぐに火が通ります。焦げないよう火加減に注意しましょう。
干しりんごのベーコン巻き
干しりんごを2枚重ねてベーコンで巻きます。とじ目を下にしてフライパンで焼きます。香ばしく焼けたら反対側も焼き、完成です。塩気が足りない時は塩を少し足してください。黒胡椒をかけてもおいしいです。
干しりんご
下準備:4等分にして種を取り、5〜10mmの厚さにスライスします。変色防止に塩水に浸けてから水分を拭き取ります。
干す時間:1日〜5日。8時から19時まで。1日以上干す場合は、夕方に取り込んで冷蔵庫に入れておきます。
保存:冷蔵庫で2〜4日。冷凍保存可。1日干したものを冷凍するとシャーベットのようになります。そのまま食べられます。
干しみかん
下準備:皮を剥きます.房にバラしてもそのままでもOK。
干す時間:1日。干した後に表面の薄皮がパリパリになります。
保存:冷蔵庫で2週間程度。薄皮はしんなりします。
味がギュッと濃くなり甘くなります。房をバラした干しみかんは冷凍にしても食べやすく、おいしいです。
干し柚子
下準備:よく洗い3mmくらいにスライスします。
干す時間:1週間ほどカラカラになるまで干します。
保存:冷蔵庫で1ヶ月程度。使う時に種を取ります。冷凍も可。
調理例:刻んで鍋の薬味やサラダのトッピングなど、柚子の風味を付けたい時に使えます。
廣田 有希さん
干し野菜の専門家・料理道具の『つきじ常陸屋』三代目
フードコーディネーターとして、商業施設の店舗開発、スイーツやデリの商品開発に携わる。その後、家業の新規事業で、料理道具の店“つきじ常陸屋”をプロデュース。日本製の干しかごの開発を機に、干し野菜の専門家となる。
著書に、干し野菜をはじめよう(文藝春秋社)他、執筆、講座、講演などを通して、干し野菜を広める活動をしている。
・Facebook 干し野菜研究室
・料理道具のつきじ常陸屋 ホームページ