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2014年12月号
キムチ作り

乳酸菌たっぷりの
美味しいキムチを家で作ろう!

キムチは乳酸菌を豊富に含む発酵食品です。
ちょっと手間がかかるけれど、
添加物がない美味しいキムチが家庭でも作れますよ!



 今年一年間、発酵について学び特集してきましたが、最後は「キムチ」です。キムチは韓国発祥のれっきとした発酵食品。日本でも普通に買うことができて身近な食べものになってきました。ですが、スーパーなどで売られているキムチは、乳酸発酵をしていないキムチ風の味付けをした浅漬けが多いようです。保存料やアミノ酸、着色料などを使って作られたキムチ風の漬物ですね。こういったものは乳酸発酵していないので、キムチ本来のもつ薬効性や効能、醗酵効果などはあまり期待できませんが、味はそれなりに美味しく作ってありますし、安価にたくさん作れます。
 では、本物の乳酸発酵しているキムチは、どういうものでしょうか。
 まず、保存料は一切使わないのはもちろん、手間をかけ、じっくり寝かせて発酵させ、熟成させるのが本来のキムチです。

 また、キムチ作りに欠かせない「アミの塩辛」など動物性の食品を使うことで、乳酸菌の種類が豊富になります。これが本物のキムチの深い味わいを作り出すのです。
 さらに低温で発酵させるのも特徴です。漬物の乳酸菌発酵は15℃くらいが適温ですが、キムチは5℃。寒い時季にかめを土中に埋めて発酵させます。現代の韓国では、キムチ用冷蔵庫が家庭にあり、温度管理を徹底して2年や3年も熟成させたりもするようです。
 そう考えると、キムチ風の漬物は発酵していませんから、腐敗が進むので賞味期限がとても短いことが分かりますね。

キムチ1gにはなんと
乳酸菌が8億!!

 熟成したキムチは、なんと乳酸菌のチャンピオンと云われるヨーグルトに匹敵するほど、たくさんの乳酸菌を含んでいます。キムチ1gに含まれる乳酸菌はなんと、8億!
なかでもラクトバチルスという乳酸菌は腸内に生息する悪玉菌を抑制し、腸の働きを整え、発ガン物質を減らす効果があると云われています。胃酸に強いので生きたまま腸に届きやすい性質を持っています。

キムチの美肌効果

 キムチは加熱をしないで作るので、野菜に含まれるビタミンCを壊すことなく、効率よく摂取することができます。また、野菜本来が持つビタミンに加えて、発酵することにより更に多くの栄養成分が作り出されます。特にビタミンB1、B2、B12、ニコチン酸(ナイアシン)といった、肌のコンディションを整えるために欠かせないビタミンB群が発酵熟成によって豊富に作り出されます。  また、唐辛子に含まれるカプサイシンには、体の抵抗力や新陳代謝を高める作用があり、血行を良くして発汗を促すので、美肌効果もあります。

手作りキムチは
家庭ごとに味が違うもの

 韓国ではキムチ作りは、冬の重用な行事です。各家庭ごとに味が違い、それがその家の自慢でもあります。何年も作り続けているお母さんが「おばあちゃんの作るキムチには勝てない」と試行錯誤を繰り返し、受け継がれる奥の深いソウルフードなのです。
ぜひみなさんも失敗を恐れず、美味しいキムチをご家庭で作ってみてください。

白菜キムチの作り方

白菜キムチの作り方

容器

・ホーローまたはかめ
プラスチック容器の場合、唐辛子の色が移るので注意してください。また、まな板への色移りもご注意ください。

韓国食材のこと

イワシエキス、アミの塩辛、粉唐辛子は、韓国食材店やインターネットでも購入できます。
特に粉唐辛子は、日本の一味唐辛子とは違い、辛さがマイルドなので必須です。
イワシエキスは魚醤で代用できます。アミの塩辛はスーパーで取り扱っている所もあります。

そのまま食べても良し、料理に使っても良し。 納豆に刻んだキムチと醤油麹を入れると代謝促進効果があります。 寒い時期は、キムチ鍋にすると体の芯から温まりますよ。

白菜キムチの作り方

白菜は根本から半分くらいまで包丁で切り込みを入れます。

白菜キムチの作り方

切り込みを入れた所から手で裂きます。


白菜キムチの作り方

半分になったものを同様に切り裂いて4等分にします。

白菜キムチの作り方

白菜の葉を1枚ずつめくり、根本のかたい部分を中心にまんべんなく塩を振ります。


白菜キムチの作り方

切り口を上にして根本と葉が交互になるように、隙間なく容器に入れます。

白菜キムチの作り方

ぴったりラップをかぶせて重石を置き、3〜4時間程度おきます。


白菜キムチの作り方

塩漬けにした白菜を丁寧に水洗いし、絞ります。味見をして塩辛い場合は塩抜きします。
塩が抜けないと出来上がりが塩辛くなります。

白菜キムチの作り方

鍋にだし汁を沸かし、少量のだし汁で溶いた白玉粉を加えて混ぜ、とろみが付いたら火を止めて粗熱をとります。


白菜キムチの作り方

しょうが、にんにく、りんごをすりおろします。ミキサーがあれば使うと早いです。

白菜キムチの作り方

9に8を入れ、イワシエキス、アミの塩辛を入れ、混ぜます。


白菜キムチの作り方

10に粉唐辛子、砂糖を入れ、ダマにならないようよく混ぜます。

白菜キムチの作り方

11に斜め薄切りにした長ねぎと2〜3cmに切ったにらを加えてさっと混ぜます。


白菜キムチの作り方

白菜の1枚1枚に12でできたヤンニョムを芯の方に多めに、まんべんなく塗っていきます。

白菜キムチの作り方

ヤンニョムを塗ったら1枚ずつ内側に折りたたんでいきます。


白菜キムチの作り方

熱湯消毒した容器に空気が入らないよう、きっちり入れ、ラップでふたをし、1日常温においてから冷蔵庫に入れます。

白菜キムチの作り方

水が出てきたらかき混ぜ、冷蔵庫で2週間経った頃からが食べ頃です。
すぐに食べたい場合は、厚めに切った豚バラ肉を茹でて一緒に食べると美味しいです。

20日目あたりが発酵して一番美味しくなります。だんだん酸っぱくなってくるので、お好みで食べてください。汁はキムチ鍋などに使えます。



白菜キムチの作り方

キムチ作りのアドバイスを頂いた築地場外の韓国食材店
「(有)ケーマート 丸北商会」 羅 権中さん

東京都中央区築地4-14-18 1F
TEL/FAX:03-3543-5643
営業時間:5:00〜14:00定休日:日曜
韓国食材が揃う店。地方発送可。


>>> WEBショップ




 

 

 

 



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2014年10月号
塩麹、醤油麹

塩麹、醤油麹で
おいしいごはんのおともを!

食材の旨味を引き出す塩麹。手軽にかけるだけでおいしい醤油麹。
発酵食は少しずつ毎日食べ続けることが大切です。
「ごはんのおとも」から発酵食ライフを始めませんか?

 2011年頃から塩麹ブームが起こり、麹を使った昔ながらの伝統食や発酵食品が見直されています。なぜ今これほど発酵食品が求められているのでしょうか?
 麹菌は、日本の伝統食品の根幹をなすものです。味噌、醤油、酒など日本食の源となる食品や調味料には麹菌が必ず関わっています。そういった発酵食品は、何百年もの昔からずっと食べ続けられ、体に良いことが分かっている安全な食べものです。栄養学や医学が発達する前から、古代の人々が試行錯誤を繰り返し、作り上げられた生きた食べものであり、現代の安価で大量生産の食べものとは発想がまるで違います。
 いつでも手軽に買える加工食品は、企業がいかに利益を上げるかを先行して、品質や体に良い効果は二の次になっているものが数多くあります。発酵食品を積極的に食べるブームが起こったのは、添加物や化学調味料などを使った食品を永く食べ続ける弊害に気が付いた人が増えているからではないでしょうか。
 アトピー、若年成人病、糖尿病ガンなどが増えたのは、明治以後の添加物をたくさん使った便利な食品を食べ続けてきた結果と考えられています。

塩麹はおいしくて
体に良い効果がいっぱい!

 塩麹の特長は、食材に含まれるデンプンやたんぱく質を分解して食材を柔らかくし、旨味を感じる糖やアミノ酸、グルタミン酸などを作り出します。そのため、味に深みが出て美味しく感じられます。
 また、腐敗を抑える抗菌、抗酸化作用もあります。腸の中で善玉菌を増やし、体の中からキレイになることで、便秘の改善、ダイエット、美肌作用、美白作用があります。また、じんましんなどのアレルゲンを分解する抗アレルギー作用もあり、体質改善が期待できます。

塩麹と相性の良い食材、悪い食材

 鶏肉や魚は塩麹との相性が良い食材です。塩麹で漬け込むことで、旨味成分のグルタミン酸が増加します。さらに旨味を増やすには、弱火で調理するのがおすすめです。
 相性の悪い食材は、デンプン質の多い食材です。麹はデンプンを分解する酵素があるので、小麦粉、じゃがいも、春雨などは全体が溶け出して食感が悪くなります。おにぎりや混ぜごはんなども塩麹をまぶして時間が経つと溶けて水っぽくボソボソになるので、気を付けましょう。

塩麹より旨い!?
万能調味料、醤油麹

 塩麹の進化形とも言える醤油麹は、香ばしい香りに深いコクと甘味があり、まろやかな味が特徴です。 醤油麹の良さは、塩麹より手軽なこと。食材を漬け込まなくても料理に混ぜたり、かけたりするだけで手軽に美味しくなります。なんと旨味成分のグルタミン酸が塩麹の10倍以上も多いという分析結果もあるんです。  発酵食品は、昔からそうしてきたように、少しずつでも毎日食べることで効果が現れます。保存料の入った加工食品は控えて、ごはんがおいしいこの季節に塩麹や醤油麹の「ごはんのおとも」から発酵食をはじめてみませんか?

塩麹と醤油麹の作り方

塩麹と醤油麹の作り方

材料を混ぜ合わせるだけ!で旨味たっぷりの万能発酵調味料が出来ます。
長期保存ができて体にうれしい「塩麹」と「醤油麹」です。

塩麹と醤油麹の作り方

板状の乾燥麹を手のひらで挟んで揉みほぐします。ほぐしているうちに米麹の香りがしてきます。

塩麹と醤油麹の作り方

麹に塩を加え手でギュッと握るように混ぜます。しっとりしてきて片手で握っておにぎりのように形が作れるまで混ぜます。


2を容器に入れ、250ccの水を加えて混ぜます。1日1回空気を混ぜ込むように混ぜ、常温で保存します。

1日経つと麹が水を吸ってボソボソした感じになるので、ひたひたになるように50〜100ccほど水を足します。


1週間〜10日で麹の粒が柔らかくなり指で簡単に潰れるようになれば完成です。出来上がったら冷蔵庫で保存。半年は持ちます。

 


 

 

 

 

 

塩麹と醤油麹でごはんのおとも

かけたり混ぜたりするだけで、おいしいごはんのおともができます。
塩麹は漬けるのが得意。醤油麹はそのままでもおいしいですよ。

 

納豆の醤油麹がけごはん
ツナと柚子胡椒塩麹ごはん

春菊としろ和え風ごはん
いかの塩麹漬けごはん

まぐろ漬け風ごはん
わかめとしらすの塩麹ごはん

 

 

 

 



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2014年8月号
とろりと甘い夏の栄養ドリンク

とろりと甘い夏の栄養ドリンク
麹で発酵甘酒作り

日本の発酵食の元ともいうべき麹を使って、炊飯器で簡単に本格甘酒が作れます。
ノンアルコール、ノンシュガーなのに、やさしい甘さが広がる甘酒です。

 日本の夏は高温多湿。湿気が多くて暑いと体に堪えますよね。暑いと体は汗をかき、体温調整をおこないますが、湿度が高いと汗の蒸発が滞ります。
すると熱が体内にこもり、神経や筋肉の働きが鈍くなります。その結果、食欲が低下し、疲れやすくなり、それを繰り返すことで夏バテがおこります。

夏バテ防止には昔から
甘酒が飲まれてきた

 江戸時代に、天秤棒をかついで甘酒を売り歩く甘酒屋は、 夏場の風物詩でした。そして意外に思われますが、「甘酒」は俳句の夏の季語。それほど身近な飲み物だったということです。江戸時代にはクーラーもないため、暑さと栄養不足が死因となるケースも多く、その栄養不足を補う飲み物として「甘酒」が庶民に親しまれました。

甘酒は飲む点滴?

 米と米麹を発酵させて作る甘酒は、必須アミノ酸全種、吸収率の高いビタミン群なども豊富に含んでいて、点滴とほぼ同じ成分が入っていることから「飲む点滴」とも言われています。
 甘酒と聞くと、多くの人が酒粕と砂糖を使った甘酒を想像されますが、甘酒とは本来、米と米麹と水を合わせて、発酵させて作るものです。酒粕の甘酒のような強い甘さやアルコール臭はありません。麹菌が米を分解してできるブドウ糖の甘さなので、サラリとやさしい甘さです。日本酒と原料が同じなので、長時間発酵させると日本酒になりますが、作りたてならアルコール分はほとんどないので、お子様にも安心して飲ませられます。暑い日に、氷を浮かべて冷たくいただく甘酒は、おいしいですよ。

ジャパニーズ・ヨーグルト

 麹の甘酒は「ジャパニーズ・ヨーグルト」とも呼ばれるほど、栄養が豊富です。食物繊維とオリゴ糖がたっぷり含まれているので、腸内環境を整えてくれます。便秘や肌荒れなどの予防や改善、体内の毒素排出にも役立ちます。また、コウジ酸という麹にしか含まれない成分が、シミ、ソバカスの原因となるメラニン色素の生成を抑える効果もあります。麹屋さんや、お酒を醸造している蔵の杜氏さんたちの手がシミひとつなくキレイなのは麹のおかげと言われています。
 栄養が豊富で、美肌、美白効果も期待でき、体の中からキレイにしてくれる甘酒は、日本人の昔からの知恵であり、現代の加工食品を多く摂っている私たちだからこそ、必要な発酵食だと思います。

悪酔い防止にも最適

 甘酒には、肝臓のアルコール分解作用を高めてくれるビタミンB群が多く含まれています。また、100種類以上の酵素が含まれる中には、アルコール分解酵素もあり、お酒を飲む前に甘酒を飲むと、悪酔い防止効果があります。

うなぎに代わる実力派

 ニホンウナギが絶滅危惧種に指定された今、土用のうなぎを食べる代わりに「甘酒」で栄養補給はいかがでしょうか?
 甘酒が苦手という方は、カップ一杯にレモンや柚子などのかんきつ系果汁や生姜を入れると飲みやすくなります。今年の夏は「甘酒」で乗り越えましょう!

甘酒の作り方

甘酒の作り方

炊飯器の保温機能を使って簡単に甘酒を作ることが出来ます。
1日で出来て、冷蔵庫で1週間保存ができます。

おかゆを固めに炊く理由は、麹菌がでんぷん質を分解してブドウ糖に変えるため、柔らかいとそれが少なくなり甘くならないからです。

米麹を手で崩し、バラバラにします。固まりがないように1粒ずつにバラします。


固めに炊いたおかゆに水を加え、ダマがなくなるまでよく混ぜます。水を多めに入れるとサラサラとした仕上がりになります。

高温だと麹菌が死んでしまうので、米麹を加える温度は50℃以下にしましょう。慣れるまでは温度計で測ると良いでしょう。

おかゆが50℃以下になったら、米麹を加えます。おかゆと米麹が均等に混ざるように、よくかき混ぜます。

50〜60℃を保つように炊飯器のフタを少し開け、キッチンタオルをかけて保温します。炊飯器で温度が違うので最初は温度計で測りフタの開閉具合で温度を調節しましょう。

2〜3時間毎にかき混ぜながら6〜9時間の保温で出来上がり。とろりと甘味が出ていれば完成です。甘くない場合はさらに1〜2時間保温します。粗熱が取れたら冷蔵庫へ。

甘酒の甘味はブドウ糖です。1度にたくさん摂りすぎると血糖値が上がるので、1回に飲む量はおちょこ1杯程度にし、1日に飲む量は200cc以内にしてください。


 

 

 

 

 

夏のフルーツでアレンジ甘酒

甘酒に季節の果物を加えると様々なアレンジができます。
基本は果物を加えて1日寝かせるだけです。


パイナップルを小さく切り、甘酒と混ぜます。1日冷蔵庫で寝かせたら出来上がりです。
さわやかなパイナップルの甘味が濃厚になります。


スイカは種を取り、小さく切って甘酒と混ぜます。基本的に果物が甘酒に浸かるようにしてください。半日〜1日冷蔵庫で寝かせます。
スイカはたっぷり入れた方がスイカの甘味が引き立ちます。


ミントの葉をちぎり、甘酒と混ぜ、1日冷蔵庫で寝かせます。
スッとするミントが爽やかな甘酒です。種を取りカットしたメロンを細かく切り、甘酒と混ぜます。


1日冷蔵庫で寝かせて出来上がりです。メロンの風味が夏らしくおいしいです。


キウイも小さく切り、1日冷蔵庫で寝かせます。
すっきりした味わいになります。


皮があるものはそのままだと発酵しずらいので切ります。
皮を剥いてもOKです。ミニトマトは甘酸っぱくおいしいです。


 

 

 

 



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2014年6月号
手作り納豆

ぷくぷく、シュワシュワ
体にやさしい手作り酵母

新鮮な果物や野菜には元気な酵母がたくさんくっついています。
手作り酵母をそのまま酵母ドリンクとして飲めば、植物性乳酸菌と酵母が腸の働きを助けてくれます。

 最近では、自宅で「手作り酵母」からパンを焼く方が増えています。「手作り酵母」「天然酵母」「自家製酵母」と言われるパンは、自然食品店などでも人気です。
 「手作り酵母」とは、レーズンや季節の果物から起こした発酵菌のことを言います。それをパンの発酵に使うと、起こした果物や季節によって膨らみ方、風味などが変わり自分だけの個性あるオリジナルパンが出来上がります。酵母から手作りできるパン作りがとても流行っていますが、実は「手作り酵母」は、そのまま飲んだり、料理にも使えるんですよ。今回はそのの作り方と使い方をご紹介します。

手作り酵母は健康に良い?
火を通してもいいの?

 糖分を分解してアルコールと炭酸ガスを作りながら発酵する酵母は、お酒を造るときにも活躍します。ぷくぷくと食材を発酵させるのは、酵母の力です。食材は発酵することで、香りと同時に旨味も増えます。それだけでなく、食材が持つ「体に良い成分」をより多くすることにも役立っています。

 体に良いと言われる納豆や味噌、ぬか漬けなどの発酵食品が、なぜ良いのかは、納豆菌や乳酸菌などの微生物が食材を細かく分解して発酵させる過程で、アミノ酸やクエン酸、ビタミンなどの成分を増やす作用があるからです。だから火を通した食べものでも、菌は死んでしまうけれど、たくさんの栄養が発酵によって体に摂り入れられるので「体に良い」のです。発酵菌ってすごいですね!

パン以外でも手作り酵母

 できたての酵母は、発酵してシュワシュワ発砲しています。発砲しているのは菌が元気に活動している証拠。ぜひ、そのまま飲んでみてください。果物のほのかな甘みとフレッシュな香り、少しピリリとする炭酸がおいしいジュースになっています。生きたままの酵母と植物性乳酸菌も直接腸に届きます。腸内の善玉菌の活動を助けるので、免疫力が上がり、腸内環境も良くなります。腸が元気だと肌も健康になり、美容効果も期待できます。お子さんもお母さんもゴクゴク飲める手作り酵母ジュースは、最高の生きたサプリメントです。

酵母は生きた調味料

 料理に使うと酵母がたんぱく質を分解する過程で各種アミノ酸が生まれます。特に植物性の旨味成分グルタミン酸をたくさん発生させるので、ダシの代わりに酵母液を使えば、ダシ昆布やブイヨンを使わなくても味に深みが出ます。
 また、肉や魚の下ごしらえに生姜酵母やローズマリー酵母などを使うと生臭さやクセを消して、調理後の食材をふっくら柔らかくしてくれます。

保存期間を長くする

 生姜は余ってダメにしてしまうことがありますよね。そこでおすすめなのが、生姜酵母です。酵母にすることでゆっくり熟成し、冷蔵庫で1ヶ月くらい保存ができます。肉の漬け込みダレや生姜焼きなどにサッと使えて、素材も柔らかくしてくれるので、一石二鳥。生姜酵母とはちみつと炭酸で自家製ジンジャエールもおすすめです。  シュワシュワ楽しい手作り酵母をぜひ作ってみてください。

手作り酵母の作り方

手作り酵母の作り方甘みのある旬の果物は酵母作りにぴったりです。
素材と水と少しの糖分を混ぜて毎日観察しましょう!


りんごは洗ってくし切りにし皮や芯も入れる。材料を入れ水はりんごが隠れるくらい入れ、直射日光を避け砂糖が溶けるまで混ぜる。

酵母液ができるまでは、毎日、何度か容器を振り、蓋を外して空気を混ぜ込むようにする。室温20℃くらいが発酵に最適。

りんごから小さな気泡が出はじめる。だいぶ水が濁ってりんごが浮いてくる。香りは、りんごの甘い香り。

りんごからぷくぷく気泡が出る。容器を開けるとプシュッと音がして、振ると泡立つ。水がとろっとして、りんごの甘い香り。

りんごが変色してかじるとスカスカになったら、りんごは取り出し、冷蔵庫で保存する。気泡は落ち着いてくる。酵母完成。

 

 

生姜2個をすり下ろし、てんさい糖または、はちみつ大さじ1を入れ、水をひたひたになるくらい入れてよく混ぜる。

生姜の中にぷつぷつと気泡ができ、蓋を開けるとプシュッと音がする。

気泡がだんだん大きくなってきて、プチ…プチ…と音がする。気泡がたくさん出はじめたら完成。時々混ぜながら冷蔵庫で保存する。

 

 


 

 

 

 

 

手作り酵母のいろいろな使い方

暖かくなる5月6月は酵母作りに最適な季節です。 いろいろな旬の食材で酵母を作ってみましょう!

柑橘系は発酵しやすいので、おすすめです。皮をむいてくし切りにします。甘みが少ない果物には、てんさい糖やはちみつを果実100gにつき大さじ1入れます。

◎使い方

そのまま飲んでもとてもおいしいです。大根やかぶなどの漬物に柑橘系の酵母を加えると、さっぱりとした味わいになります。



 

 

熟したトマトは2〜3日で酵母が出来上がります。家庭菜園などで熟したトマトがたくさん採れたら、酵母にしておくと日持ちもして便利ですよ。糖分なしでOK。

◎使い方

塩、胡椒で味を調えて簡単スープに。それに寒天を加えてトマトゼリーにしてもおいしいです。パスタやラタトィユなど、いろいろな西洋料理のダシとしても使えます。



 

 

熟したトマトは2〜3日で酵母が出来上がります。家庭菜園などで熟したトマトがたくさん採れたら、酵母にしておくと日持ちもして便利ですよ。糖分なしでOK。

◎使い方

塩、胡椒で味を調えて簡単スープに。それに寒天を加えてトマトゼリーにしてもおいしいです。パスタやラタトィユなど、いろいろな西洋料理のダシとしても使えます。



 

 

ローズマリーは軽く洗ってから使います。糖分は小さじ1程度入れます。とっても良い香りの酵母が2〜3日で出来上がります。

◎使い方

肉料理やスープに少し加えると香り良く仕上がります。魚の下ごしらえに30分ほど漬けておくと臭みを取り、魚がふっくら、ほろほろと柔らかくなります。


 

 



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2014年4月号
手作り納豆

納豆好きにはたまらない!
おいしく楽しい手作り納豆

大豆が発酵して納豆になると、大豆自体の栄養価が最大限に引き出されます。
大豆をまるごと発酵させる納豆は、昔の人の知恵が詰まった傑作と言えるでしょう!

 朝食の大定番とも言える納豆は、言わずと知れた発酵食品です。大豆が発酵することで、大豆本来の栄養価が格段にアップする発酵食品の代表のような納豆。さて、その起源はいつ頃なのでしょう。

納豆には「糸引納豆」と「塩辛納豆」の2つある

 まずは納豆の種類について説明します。納豆には大きく分けて2つの種類があります。まずは、大豆に納豆菌を振りかけて発酵させる「糸引納豆」。私たちが普段よく食べている納豆ですね。
 もうひとつは、大豆に麹菌と塩を加えて発酵させ、その後乾燥させて長期熟成させる「塩辛納豆」です。この「塩辛納豆」の方が歴史が古く、中国では紀元前の遺跡から出土するほどです。また日本では、平安時代後期より前から食べられていたと言われています。
 では、私たちがよく知る「糸引納豆」は、いつから食べられていたのでしょう? 室町時代の文献に登場し、起源の由来も諸説ありますが、実はいつ出来たのか、その起源は未だ謎のままです。

関西に納豆が広がらなかった理由

 江戸時代になると「糸引納豆」は数日で簡単に作れるので、庶民の間で急速に広がりました。そして関東以北でよく食べられるようになります。関西で広がらなかった理由は、朝に納豆と合わないお茶漬けやお粥を食べていたからとも言われています。

納豆のすごいパワー!!

 そもそも大豆は畑の肉と言われるくらい栄養豊富な食べものなのに、これが納豆菌の発酵によってさらにパワーアップするのです。
 例えば糸引納豆とゆでた大豆を比べると、納豆の方がビタミンB2は6倍以上、葉酸は3倍も含まれます。また、消化率も納豆の方が2割ほど良くなります。
 一見、あまりなさそうな食物繊維も、納豆には、なんとごぼうよりも多く含まれています。

熱や酸に強く、生きて腸に届く

 納豆菌の胞子は熱に強く120℃以下では死滅しません。他の菌が生き残れない高温になっても納豆菌は生きている、とっても強い菌なのです。それから、酸にも強いため、食べた後は生きて腸に届いて乳酸菌を増やし、腸内環境を整えてくれます。腸が健康だと、老化も防止できる、免疫力もアップする、肌も髪も美しくなる、と女性にうれしい良いことがいっぱいですね!
 また、納豆のねばねば成分は、カルシウムの吸収を助ける働きがあるので、納豆をよく食べる地域では骨粗しょう症が少ないとも言われています。

稲わらで作った納豆と市販の納豆で作る納豆

 昔ながらの納豆作りは、納豆菌を使わなくても、稲わらに付着している納豆菌が大豆に移り、増殖して発酵し、納豆が出来上がります。
 今回、稲わらでも納豆を作りましたが、市販の納豆から作る納豆とは味わいが違って、臭みが少なくまろやかした。納豆が苦手な方にもおすすめです。ですが、どちらもおいしい納豆ができました。
 自分で作る納豆は、格別です!

手作り納豆の作り方

豆乳ヨーグルトを作ってみよう! 市販の納豆でもメーカーによって味が変わります。
いろいろな納豆で作ってみると楽しいですよ!


大豆を洗い、水に浸してひと晩おいて戻します。それを火にかけ、沸騰したらアクを取り、時々水を足しながら4時間ほど煮ます。

親指と小指で簡単に潰れるくらいの柔らかさになったら、ざるに上げ、熱湯消毒した容器に入れます。

熱湯消毒したボウルに市販の納豆と熱湯を入れて混ぜます。

大豆が熱いうちに3の納豆菌が混ざった汁だけを加えて全体を混ぜます。大豆が冷めてしまうと雑菌が繁殖し、発酵しにくくなります。

大豆の上にペーパータオルをのせてラップをし、輪ゴムで留めて20カ所以上に空気穴を開けます。

電気毛布で包み40℃くらいの温度で12〜20時間保温します。保温ができれば、こたつや湯たんぽを使ってもOKです。

表面が白くなり、納豆の香りがして、糸が引けば出来上がりです。乾燥しないようにフタをして冷蔵庫で1〜2日熟成させます。

手作り納豆が出来ました。保存期間は、冷蔵庫で4〜5日、冷凍すれば1ヶ月ほど持ちます。


 

 

 

 

 

稲わらを使った納豆の作り方

豆乳ヨーグルトを作ってみよう! 稲わらで昔ながらの納豆作りにも挑戦しました。 自然の納豆菌だと味わいも格別でした。

大豆を煮ている間に、稲わらをタッパーに入る長さにハサミで切ります。

大豆が茹で上がる頃に、稲わらをたっぷりの熱湯に浸します。もしくは軽く30秒ほどゆでます。写真はストーブでゆでています。

稲わらをざるに上げてお湯を切ります。容器にペーパータオルを敷き、その上に稲わらを敷きます。

3の上にゆでたての熱い大豆をまんべんなく入れます。

4の大豆の上から稲わら、ペーパータオルの順にのせていきます。ラップでフタをして20カ所以上に空気穴を開けます。

電気毛布で包み40℃くらいの温度で20〜24時間保温します。途中、豆の表面が乾いているようなら霧吹きで水を加え、水っぽいようならペーパータオルを替えてください。

表面が白くなり、納豆の香りがしたら出来上がりです。乾燥しないようにフタをして冷蔵庫で1〜2日熟成させます。

2日以上熟成させると味がだんだんマイルドになってきます。糸の引き具合も長く熟成するとよく引くようになりました。

 

 



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2014年2月号
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!

玄米から乳酸菌、
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!

発酵や菌は、私たちの暮らしにとても身近な存在です。
難しいと思っているだけで、実は簡単で体に良いことがいっぱいな「発酵」なのです。

 和食は、世界遺産になり、今注目を集めています。私たちは去年、漬ける一年を経験し、漬けることは「発酵する」ということだと学習しました。和食って、実は「漬ける」「発酵する」が元なのですね。味噌、しょう油、漬物、納豆など、昔から発酵食が体に良いと知られていました。発酵に必ずと言っていいほど関係する菌が「乳酸菌」です。

 発酵食品は今やお店で買う物で、家で作るのは難しいと思ってきました。ですが、漬ける一年を通して、味噌だって自分で作れちゃうんだ! と嬉しい発見がありました。面倒で難しいからできない、と思っていた味噌づくりも、麹菌や乳酸菌が働いてくれて、放っておけば味噌になる。私たちは、乳酸菌がうまく働ける環境を作ってあげるだけで、発酵食はちゃんとできるのです。菌のパワーってすごい!

 今年は「漬ける」から「発酵する」に、一歩進みます。私たちの暮らしには、発酵している食べ物がたくさんあります。そんな発酵食を自分たちで作りながら、乳酸菌だったり、麹菌だったり、菌や発酵について一緒に考えてみませんか。

発酵するってどういうこと?

 発酵というのは、乳酸菌のような微生物が有機物を分解して新しい物質を作ることです。発酵は人間にとって有益ですが、「腐敗」も微生物の同じ働きで起こります。ヨーグルトや納豆のように人間に有益であれば「発酵」、カビや食中毒の原因になるような有害な物質ができれば「腐敗」になります。

乳酸菌って作れるの?

 発酵に一番身近な「乳酸菌」を作ってみましょう!「乳酸菌って自分で作れるの?」と驚かれるかもしれませんが、実は、身近な食材だけで誰にでも簡単に作れちゃうんです。材料は、玄米(できれば無農薬のもの)、黒糖、天日塩の3つだけです。なぜ、これだけの材料で乳酸菌ができるのか? それは、米に付着している乳酸菌が黒糖をエサにして、どんどん発酵していき、新たな乳酸菌を作るからです。

乳酸菌をどう使うの?

 玄米乳酸菌は様々な使い道があります。ひとつは豆乳で作るヨーグルトです。豆乳で? と思われるでしょうが、玄米乳酸菌と豆乳を混ぜて発酵させると、爆発的に乳酸菌が増えてヨーグルト状に固まります。この豆乳ヨーグルトを食べて、便通や体調が良くなったという人がたくさんいるのです。それは大量の乳酸菌が、腸内環境を改善してくれるからなのです。

乳酸菌の使い方いろいろ

 豆乳ヨーグルトにとどまらず、簡単な乳酸菌の使い方がたくさんあります。乳酸菌液をそのまま飲んだり、少し水で薄めて飲むと整腸効果があります。また、乳酸菌は雑菌を駆逐する働きがあるので、薄めてうがいをしたり、ガーゼに染み込ませてマスクの下に入れると風邪予防にもなります。
 10倍に水で薄めて、お部屋にスプレーすれば空気清浄に。ガスコンロまわりの掃除にも使えます。
 漬物も簡単で、乱切りしたきゅうりに塩と乳酸菌を少量入れ、冷蔵庫でひと晩置けば、おいしいぬか漬け風の浅漬けができます。
 玄米乳酸菌を作って、おいしく楽しく健康生活をしてみましょう。

玄米と黒糖と塩を水に混ぜるだけ。
身近な材料でできる乳酸菌を作ってみよう!

豆乳ヨーグルトを作ってみよう! ※冬場は室温だと寒いので、こたつやホットカーペットの上、冷蔵庫の上など、なるべく暖かい場所に乳酸菌を置くと良いでしょう。
 玄米乳酸菌を作って、おいしく楽しく健康生活をしてみましょう。


豆乳ヨーグルトを作ってみよう!
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!

玄米乳酸菌と豆乳、オリゴ糖を混ぜるだけ。
簡単にできて、
とってもおいしい豆乳ヨーグルトを作ろう!

豆乳ヨーグルトを作ってみよう!
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!
豆乳ヨーグルトを作ってみよう!

今回乳酸菌と豆乳ヨーグルトを作るにあたり、
大変お世話になったシカゴ・ブルースさんとグレープおばさんのWEBサイトです。
シカゴ・ブルースさん:http://okrchicagob.blog4.fc2.com/
グレープおばさん:http://blog.goo.ne.jp/gurepuuiko



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