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2009年12月号
フェアトレードってなーに?
写真)ピープル・ツリーのフェアトレードチョコレート。(秋冬限定商品)
公正な取り引きで仕入れられたカカオ豆などの原料をスイスの工場で加工しています。

フェアトレードってなーに?

『フェアトレード』。直訳すると『公平な貿易』。
「なんだか難しそうな言葉・・・。
それに『貿易』なんて身近じゃないし、私には関係なさそう。」
もしくは、「コーヒー豆とかでたまに売ってたりするアレでしょ?」
まだまだ日本では認知度が低い『フェアトレード』。
でも、日常の買い物が途上国の貧困を救える力になるとしたら?

 私たちの買い物の選択肢には、同じ品物でも安い物と高い物があります。安い物は、たいがい中国、インド、タイ、ベトナムなど、途上国と呼ばれる国で作られたもの。企業が大量生産するから安く買えます。家計も大助かりです。
 でも「こんなに安いのに、作っている人たちはちゃんとお金を貰えているのかな?」と疑問に思うことはありませんか?
 安い物の裏には、安い賃金で一日中働き続けている人たちもいるのです。昼休みもほとんど無く、夜遅くまで残業をしても残業代が出なかったり。窓もない換気もしない工場の中で過酷な労働に耐えなければならなかったり。一日も休みが無く何ヶ月も働き通し。そんな途上国の人たちもいます。
 安いことは消費者にとって嬉しいことですが、「途上国の人が少ない賃金で休み無く働かされているから安い」と知ったら、あなたはどう思うでしょう。「安くてラッキー」と思えるでしょうか?

フェアトレードってなに?

 アジア、アフリカ、中南米などの途上国の生産者を対等なパートナーとして、農産物や手工芸品を買いたたくのではなく、適正な価格で継続的に取り引きをする、公平(フェア)な貿易(トレード)を目指す活動がフェアトレードです。
 しかし、現地にあるものをバイヤーが適正な価格で買い取り、それをそのまま持ってきて売るということではありません。フェアトレード団体やNGOなどが途上国の生産者団体や組合と直接話し合い、どのような物を作ったら日本では売れるのか、それを作るにはいくらお金がかかるのか、どのように作るのか、企画や作り方から生産者と一緒に考えます。フェアトレード商品を見ると「本当に途上国で作られた物なの?」と目を疑うほどキレイな洋服や雑貨などにびっくりします。しかし、それも当然といえば当然。生産者から適正価格で商品を買っても日本で売れなければ、貿易を継続することができません。だから日本で売れるようデザインから考えられているのです。(図1参照)




図1.フェアトレードのしくみ
フェアトレードのしくみ



魚の採り方を教える

 フェアトレードの事を調べていくと、こんな言葉に出会いました。
「魚を与えても食べてしまえば無くなってしまう。だったら魚の採り方を教えれば、その人は一生食べていける」
 フェアトレードの考え方は、まさにその通り。魚をお金に置き換えると、とても分かりやすい例えです。募金や援助によって一時的にお金が入っても、使ってしまえばまた貧しい暮らしに戻ってしまいます。でもお金の稼ぎ方がわかれば、自分たちの力で生活していくことができます。「魚の採り方」とは製品を作る技術やどんな物を作れば売れるのかといった情報です。



みなさん厳しい生活状況なので、仕事があることが本当にうれしいと言います。根気のいる大変な作業にもかかわらず、みなさん楽しそうに紙糸を紡いでいます。



アシュラムで、糸紡ぎや織り、縫製の技術を学ぶ女性たち。



停電が多いネパールで家事の合間に家の中でできる手編みの仕事は、とても貴重です。

 写真提供:ネパリ・バザーロ


募金とフェアトレード

 途上国の人たちを支援する「募金」は、一方的にお金を与えるだけで、私たちの手元には何も残りません。(募金が悪いと言うわけではありません。)しかしフェアトレードの場合は、途上国の人たちが作った商品を買うことで途上国の生産者の支援になり、手元に素敵な物が残ります。小さな買い物かもしれませんが私たち一人ひとりの買い物が立派な国際協力になります。生産者も売れたことで励みになり、もっと良い物を作ろうと仕事を一生懸命覚えます。同じ国際協力ですが、募金とフェアトレードは似て非なるものですね。

フェアトレード団体・ショップ
*ピープル・ツリー
*ネパリ・バザーロ
*第3世界ショップ
http://www.p-alt.co.jp/asante/
*ぐらするーつ
http://grassroots.jp/
*シャプラニール
http://www.shaplaneer.org/
*シサム工房
http://www.sisam.jp/
*ナイアード
http://www.naiad.co.jp/
*パレスチナ・オリーブ
http://www.paleoli.org/
*チョコレボ実行委員会
http://www.choco-revo.net/


適正価格ってどう決まるの?

 フェアトレードの商品を見ると、私たちが普段買う物より高い物もあります。例えばチョコレートだと、コンビニやスーパーで売っている普通の板チョコは百円くらい。でもフェアトレードのチョコレートは三百円くらいします。では、適正価格ってどう決まるのでしょう?
 フェアトレード団体のピープル・ツリーさんとネパリ・バザーロさんに適正価格について聞いてみました。ピープル・ツリーさんの場合、15カ国50団体と取り引きがある中で生活費や子どもが学校に通えるために必要な金額を現地のパートナー団体と直接話し合い決めています。
 また、ネパリ・バザーロさんの場合も取引先のネパールの団体30〜40を年に3〜4回と頻繁に訪ね、ネパールの物価を見ながら「生活するのにこれくらいは必要」という金額を生産者団体と話し合って決めています。ネパールの物価は近年どんどん上がっていて、主食の米やジャガイモは日本と変わらない値段になっているそうです。

今回、お話しをうかがったピープル・ツリーの井藍子さん(左)と自由が丘店スタッフの方たち。







フェアトレードで変わったこと

 フェアトレードを行っている地域は元々、仕事が無い、食事を一日3回食べられない、生きていくことに必死、そのくらい貧しい地域です。ネパールの場合は長いときで一日16時間近く停電することもあるため、電気を使う機械類が使えず一般企業は撤退していきます。そんな中、フェアトレードの安定した「仕事」があるだけで、大きな変化となりました。家族や幼い子どもを置いて遠く出稼ぎに行かなくても仕事がある喜び。自分の手でお金を稼いで家族を支えている自信。借金をして食べ物を買わなければ生きていけない状況も改善されたのです。

みんながハッピーに!

 何でも手に入るこの時代。安く物が買えるけれど、どんな人がどんな状況で作っているか分からない商品。もしかしたら、過酷な労働下で作られている物かもしれない…。
 私たちの「選ぶ物」で救えるかもしれない世界があります。海の向こうの人たちが、私たちの何気ない買い物で、生活が向上する。ごはんが食べられるようになる。病気の時に薬が買える。子どもが学校に行けるようになる。そんな素敵な国際協力が、私たちにもできる。それがフェアトレードなのです。

取材協力:ピープル・ツリー http://www.peopletree.co.jp/、ネパリ・バザーロ http://www.verda.bz/
参考文献:フェアトレードの時代


フェアトレード商品ってどんなものがあるの?
大きく分けて「衣料品系」、「食料品系」、「小物雑貨系」があります。私たちの生活する中で、いつも使っている物をフェアトレード商品に換えられる物がたくさんあるんですよ。


フェアトレード商品ってどんなものがあるの?




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2009年10月号
木づかい運動ってなーに?
写真)国産材のみを使った積み木や木琴など。売り上げの2%を育林活動(ドングリの会)に役立てている商品もあります。
   [撮影協力:オークヴィレッジ東京ショールーム]

木づかい運動ってなーに?

木づかい運動シンボルマーク


日本では、国産の木があまり使われていません。
国土の約7割が森林で、
フィンランドに次ぐ世界第2位の森林大国だというのに。
どうして国産の木が使われないのでしょう?
そして今のまま、森林を手入れせずに放っておいたら
私たちの未来は、どうなるのでしょう。

 日本の木材の自給率は約2割です。つまり日本で使われている木材の約8割が外国から輸入している木材になります。日本は、国土の約7割を森林が占める世界第2位の森林大国。なのに木材を輸入に頼っているのはどうしてでしょう。
 戦後まもない頃、日本で使われる木材は、ほぼすべてが国産でした。しかし、木材輸入の自由化で海外から買う方がずっと安く手に入るようになったこと。それに加えて、燃料としての木材の使用が減ったため、自給率がどんどん低下してしまったのです。
 その結果、日本の木材は売れなくなり、間伐などの手入れにもお金がかかるため、現在、多くの森林が収穫適齢期にあるのに、放置されている現状です。これを改善するためには、より多くの人が「国産材製品を使うこと」で森を手入れする資金が還元されます。それが林野庁の推進する「木づかい運動」です。 日本の木材の自給率は約2割です。つまり日本で使われている木材の約8割が外国から輸入している木材になります。日本は、国土の約7割を森林が占める世界第2位の森林大国。なのに木材を輸入に頼っているのはどうしてでしょう。
 戦後まもない頃、日本で使われる木材は、ほぼすべてが国産でした。しかし、木材輸入の自由化で海外から買う方がずっと安く手に入るようになったこと。それに加えて、燃料としての木材の使用が減ったため、自給率がどんどん低下してしまったのです。
 その結果、日本の木材は売れなくなり、間伐などの手入れにもお金がかかるため、現在、多くの森林が収穫適齢期にあるのに、放置されている現状です。これを改善するためには、より多くの人が「国産材製品を使うこと」で森を手入れする資金が還元されます。それが林野庁の推進する「木づかい運動」です。





「3.9GREENSTYLE」をご存知ですか?
林野庁は暮らしに国産材の製品を積極的に取り入れて森林育成を目指す「木づかい運動」を推進し、その中で「3.9GREENSTYLE(サンキューグリーンスタイル)」というライフスタイルを提案しています。地球温暖化を防ぐために、日本はCO2などの温室効果ガスを6%減らす目標を掲げています。3.9は6%の3分の2にあたる数字。この3.9%(※)のCO2を日本の森林によるCO2吸収量で確保することを目標に国産材製品を身近に取り入れることで、森林を育てていこうというライフスタイルです。
「3.9GREENSTYLE」マークは、国産材の商品を見分ける目安のひとつになります。
お箸

※CO2排出量の変動により、現在は3.8%になっています。


日本の木を今、使わないと…

 森林は「木の畑」である。森林というと自然の一部であって「何もしなくてもそこにある」ように思われますが、木だって野菜と同じく、収穫もすれば手入れも必要なんです。多くの森林(人工林)は、戦後に植樹され、50〜60年経った今、ちょうど収穫の時期です。
 しかし、林業が衰退してしまった今、森林は放置され手入れもされなくなり、弱い森林になっている所もあります。間伐などの手入れがされないと、木が密集して根元に光が当たらなくなり、根が浅く苔も育たなくなります。すると、ちょっとしたことで木が倒れたり、山が崩れたりしてしまうのです。
 そして今、成熟した木を使い、若い苗を植えないと私たちの孫の世代で使える木が無くなってしまいます。

国産のヒノキ、スギ、輸入材2本 左から国産のヒノキ、スギ、輸入材2本を8年間野ざらしにした結果、国産材は立っていますが、輸入材は、ボロボロに崩れてしまいました。一口に木材と言っても、樹種により耐久性に大きな違いがあることがわかります。日本のように梅雨があり、夏に高温多湿となる地域で長持ちする家を建てるには日本の気候風土に合った樹種を選ぶことが重要です。

稲本正さん オークヴィレッジ代表のほか、工芸家・作家として、また環境に関わる企画のプロデュースなどで幅広く活動する稲本正さん。1981年にNPO法人 ドングリの会を発足。







「木づかい運動」を
もっと知りたくなったら

木づかいについて、一般の方向けに情報をまとめたサイトです。

●林野庁
http://www.rinya.maff.go.jp/
「国産材、使って減らそうCO2」をかけ声に林野庁が推進する木づかい運動について。

●木づかい.com
http://www.kidukai.com/
製品情報から環境や木育、イベント情報など、まずはここでチェック。

●木づかい友の会(木づかい.com内)
登録すると、月に一度、森林と林業、環境、国産材製品の魅力などの知ってトクする情報が届きます。






割り箸はキケン!?

 割り箸は、江戸時代に竹製のものが誕生し、現在のような木製になったのは明治時代。吉野(奈良県)で樽を作る際の端材を有効活用することから生まれました。
 昭和になり、割り箸製造器が誕生すると、大量生産が可能になり、多くの飲食店で使われるようになりました。そして1970年代以降には、外食産業の発展や衛生面への関心から割り箸の需要が急激に増え、国内生産だけでは足りなくなり、量と安さを求めて海外から割り箸を輸入するようになったのです。
 現在、日本国内では年間250億膳もの割り箸が使われています。実はその98%が海外からの輸入割り箸。そのうち99%は中国製です。輸入割り箸の多くが、漂白剤などの薬浸けの木材から作られているのが事実。そう考えると、国産材の割り箸や国産材のマイ箸を使うことが日本の森林を守ることや生活する上での安心にも繋がっていきます。

国産材の割り箸とマイ箸

 コンビニのミニストップでは、通常の「サービス割り箸」を国産材の「5円の木づかい箸」に変え、1膳5円で購入すると森林整備に繋がる仕組みになっています。また、ローソンでもポイントと引き換えに「みどりのかけ箸」というマイ箸がもらえる「ケータイお箸運動」も行われています。「みどりのかけ箸」は、野球のバット不適合材からできていて、捨ててしまうものから再利用された国産材の箸です。スポーツメーカーのミズノ、この箸を製造しているオークヴィレッジでも販売されていて、1膳につき100円が森林活動に活かされています。
 「外食」イコール「割り箸」の概念を捨てて、これからはマイ箸を持参する時代になるかもしれません。





どんぐりと小枝で作ってみよう!
秋の行楽で、お散歩やハイキングに出かけたら、どんぐりや小枝を拾ってきて作ってみよう。

どんぐりの簡単ブローチ 小枝の鉛筆 木の小人

取材協力:財団法人 日本木材総合情報センター、オークヴィレッジ株式会社、NPO法人 ドングリの会






日本の住宅に最適な日本の木材

 住宅用木材も海外から輸入しているものがほとんです。しかし、日本と気候の違う場所で育った海外の木材は、日本の住宅に適しているのでしょうか。答えはノーです。昔から日本住宅に使われてきた国産のヒノキやスギを海外の住宅用につかわれる木材と並べて、8年間野ざらしにする実験が行われました。その結果、ヒノキとスギは立派に立っていますが、外国産材はボロボロに崩れてしまいました。日本の気候は高温多湿なので、違う環境で育った外国産材よりも、日本の住宅は日本の木で造るのが一番なのです。

中循環ができる社会に

 世界の森林地帯を訪ね、育林活動や環境運動に力を注ぐ稲本正さんにお話しを伺いました。
 「工業的に作られたものは、いくらリサイクルして再利用しても結局いつかはゴミになってしまう。これを私は小循環と言っています。大循環とは、地球の循環。雨が降り、海に流れた水が蒸発して雲になる。そしてまた雨となって降り注ぐ。自然の大きな循環のこと。私が目指しているのは「中循環」。これは、人間が使った分だけ、また自然に帰すこと。木を使ったなら、使った分植えること。そんな風に、地球とキャッチボールをすることが大切なんです。」
 木づかい運動を通して、私たち一人ひとりにも地球のためにできることがたくさんあることを教えていただきました。

NPO法人 ドングリの会:どんぐりを拾ってきて育ててみよう!
どんぐりを拾ってきて育ててみよう!

NPO法人 ドングリの会は、未来の子ども達に緑豊かな住み良い地球を残そう。そんな想いから1981年、“子ども一人、ドングリ一粒”を合い言葉に活動を開始しました。
“子ども一人、ドングリ一粒”の意味は、昔から言われる「娘が生まれたら桐を植えて、お嫁に行くときに嫁入り道具を作る」と同じ意味合いです。
関東と中部(岐阜)を中心に、ボランティアの方々とどんぐりを拾い、畑に蒔いて発芽させ、3〜4年で山へ植樹、下草刈り、除間伐などを行っています。子どもからご年配の方まで、誰でも「好きな時に、好きな形で」参加できます。お近くの方は、参加してみてはいかがでしょう。
NPOドングリの会
http://www.dongurinokai.or.jp/



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2009年08月号
エコの3Rってなーに?

エコの3Rってなーに?

そういえば聞いたことがあるような…。
そんな環境問題のキーワード「3R(スリーアール)」。
これは、リデュース、リユース、リサイクルの頭文字からできた名称です。
みなさんも良く知っている『リサイクル』や浸透しつつある『リユース』。
あれ? もうひとつの『リデュース』って何だろう?

 エコの3Rとは、地球と共存していくために、できるだけゴミを出さないようにしながら、循環型社会をつくるための基本的な考え方のキーワードです。Reduce(リデュース…減らす)、Reuse(リユース…再使用)、Recycle(リサイクル…再資源化)の頭文字をとってつくられました。
 そして、3Rには優先順位があります。まずはじめに資源の消費を減らす『リデュース』、次に、使えるものは何回も繰り返し使う『リユース』、そして最後に、使えなくなったら原材料として再生利用する『リサイクル』です。(図1参照)
 リサイクル、リユースは知っている方も多く、ご家庭などで取り組んでいる方も多いと思います。
 でも「リデュースってよくわからない…」という方は結構多いのではないでしょうか。あまり馴染みのない言葉ですよね。実はこの『リデュース』こそが最も地球にやさしい『R』なんです。

図1. エコの3Rとプラス4R、5R

最近では3Rに、Refuse(リフューズ:発生源で断つ)、Repair(リペア:修理して使う)などをプラスして4R、5Rと呼ぶ場合もあります。

エコの3Rとプラス4R、5R



暮らしのリデュースはゴミのダイエット

 リデュースは「ゴミを出さない」「買わない」が基本になります。
 日本人一人が一日に出すゴミの量はおよそ1.1kgといわれています。(平成十六年度)単純に四人家族とすると4.4kg、一年間でおよそ1.6トンにもなります。それを処理するためにかかるお金(処理原価)は一トンあたり約五万六千円。四人家族の家から出る一年間のゴミを処理するには、約九万円もかかってしまうんです。ゴミ処理の費用は税金でまかなわれているので、ゴミの増加は税金の浪費にも繋がってしまうのです。
 リデュースを実践するには、物を買ったりもらったりする前に、本当に必要な物か、今ある物で代用できないか、長持ちするものか、など良く考えて行動することが大事です。ゴミのダイエットは環境負荷を掛けないだけでなく、家計の節約にもなりますね。

リデュースは資源のダイエット

 減らさなければいけないのは、家庭のゴミばかりではありません。最近では企業が作る製品も長寿命になっていたり、省資源化、修理体制、出荷時の包装合理化などにも取り組んでいます。長く使える製品なら資源の節約にもなりますね。

今日からできるリデュース

 誰でも今日から簡単にはじめられるリデュースを紹介します。
・レジ袋をもらわずにエコバッグや風呂敷を活用しよう。
・生ゴミの水分は極力少なくする(燃やすエネルギーを減らす工夫)
・買い物をする時は「要るものを要る量だけ買う」「使い捨てを前提にした物ではなく、長く使えるものを選ぶ」
・ティッシュではなく、雑巾や古布を使う
・同じ野菜なら、包装品でなくバラ売りを買うようにする。
・洗剤などは詰替用を買う。
他にもどんなリデュースができるか考えてみよう!

リユース食器を返却 リユース食器を返却するときは、古布で汚れをキレイに拭いて食器洗いの負担を少なくします。(国際青年環境NGO:A SEED JAPAN)

トートバッグやくつ下、軍手 粗大ゴミに最も多く出されている布団。昔は打ち直しが一般的でしたが、現代はゴミとして捨てられています。その布団綿からトートバッグやくつ下、軍手などがリサイクルされています。(キムラセンイ株式会社)


フィリピンでリサイクルされたカラフルなポーチ&バッグ
フィリピンの子どもたちが飲んだジュースパックをお母さんたちが縫い合わせてバッグに仕立てています。売れたお金はお母さんたちのお給料として支払われます。




ポーチ&バッグ
フィリピン支援NGO ハロハロの会
ここ




江戸時代の3Rもったいない精神

 江戸時代では、物を大切にし、最後の最後まで使い尽くす3Rが普通に行われていました。
 例えば「ゆかた」。風呂上がりのちょっとした外出着として着られていたようです。それがヨレヨレになったら「寝巻き」に。「寝巻き」としても古くなったら、小さく切って赤ちゃんの「おむつ」に。それが古くなったら「雑巾」に。「雑巾」がボロボロになったら、かまどや風呂釜を焚く「燃料」に。残った「灰」は、農家の肥料や着物の染色、造酒などに使われ、最後まで使い尽くされます。これだけ徹底して使い尽くされると気分がいいですね。私たちも「もったいない精神」で物を使い尽くす事を心掛けたいですね。

繰り返し使うリユース

 私たちの生活に密着したものでは、洋服などはフリーマーケットや知人にあげたり、リメイクしたり。牛乳瓶やビール瓶、酒瓶(一升瓶)は、洗ってくり返し使う瓶で「リターナブルびん」といいます。ビール瓶の場合は、販売時から瓶に保証金が含まれているので、酒屋さん返却すると一本あたりの瓶の値段、五円が返ってきます。市町村のゴミ回収の資源ゴミに出した場合でも、リターナブルびんは資源化センターに回収されて再使用されています。




風呂敷をマイバッグに
風呂敷が便利なバッグに早変わり! 買い物用なら気軽に洗える綿素材がおすすめです。90〜120cmの大判サイズなら、肩掛けにもできます。
ふろしきトート





包み方:ふろしき研究会 http://homepage3.niftyお買いもの包み.com/furoshiki/





おなじみのリサイクル

 3Rの最後はリサイクル。みなさんも良く知っている言葉ですね。リサイクルには二種類あり、別の製品につくり変える「マテリアルリサイクル」と焼却して燃料にする「サーマルリサイクル」に分かれます。私たちが暮らしの中で使う製品をリサイクル品に替えるだけで、リサイクル製品を作っている企業への支援になり、環境への貢献ができます。

全国で3Rの行事があります

 毎年十月は3R推進月間です。全国の自治体で3R活動に関する取り組みや行事が行われますので、ぜひ、参加してみてはいかがでしょう。



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2009年06月号
マクロビオティックってなーに?

マクロビオティックってなーに?

海外のセレブやマドンナなどの影響で
日本でも知られるようになった『マクロビオティック』。
聞いたことはあるけど、どんなものだろう?
マクロビオティックの料理教室リマ・クッキングスクールで
講師を行っている岡田英貞先生にうかがってみました。

マクロビオティックとは?

岡田先生(以下岡)初めてこの言葉を聞いた方は、なんだか難しそう…と思うかもしれませんが、実はマクロビオティックって、とってもシンプルな考え方なんです。『マクロビオティック』の意味は、三つの言葉からできていて、『マクロ』は大きい・長いという意味。『ビオ』は生命のこと。『(テ)ィック』は術・学を表します。つまり『長く思いっきり生きるための理論と方法』という意味になるんです。そしてその基本となるのが「食」です。

マクロビオティックの「食」とはどんなものですか?
岡)マクロビオティックの基本となる考え方には、土地のものをその季節に食べる「身土不二」と野菜などの皮や根も丸ごと食べる「一物全体」があります。(図1参照)基本の食事は「穀物菜食」で、主食は玄米を主とした穀物になります。動物性のもの、特に肉はひかえて、無農薬・自然農法の穀物や野菜を中心とした食事をとります。




図1. マクロビオティックの基本の考え
図1. マクロビオティックの基本の考え





マクロビオティックは日本で始まった?

マクロビオティックは日本の伝統食が基本になっていると聞きましたが、日本で始まったのでしょうか。
岡)マクロビオティックの祖は日本人の桜沢如一さん(一八九三〜一九六六)で、フランスを中心にアメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど世界中に普及活動をされた方です。
 マクロビオティックの基本となっている料理は精進料理ですが、調理法や食事は、日本の戦前のものです。私たちのおばあちゃんくらいの人なら当たり前に作っていた料理ですよ。貧しくて高価な肉や卵などが手に入らない時代には、普通の食事だったんです。

マクロビオティックは何が良いの?

マクロビオティックの食生活をすることで何が良いのでしょうか。
岡)まず、その人に合った体重に変化します。太り気味の方なら体重が減ってきたり、痩せすぎている方はふっくらしてきたりと体が本来の体型に変わってきます。そして女性に多い便秘や冷え性が改善されたり、肌のツヤや体が丈夫になったりと、徐々に体質が変わってきます。私もマクロビオティックを始めてから体の中がいつもスッキリとして気持ちいいんです。
でも、現代人の食生活を考えると「穀物菜食」は、やっぱり難しそうな気がします。
岡)いきなり肉を食べない! 卵も乳製品も砂糖もダメ! としてしまうと、やっぱり長続きしないし、食べたい物を我慢していると食事も楽しいものでは無くなってしまいますよね。だから始めてみたい方は『ゆるマクロ』でいいと思いますよ。
リマ・クッキングスクール リマ・クッキングスクール。初級から上級、師範コースとレベルに合わせてマクロビ料理が習えます。

リマ・クッキングスクールの1階にある自然食品のお店 リマ・クッキングスクールの1階にある自然食品のお店。東京都渋谷区リマ東北沢店。野菜から調味料、玄米、雑穀など何でも揃います。




マクロビオティックの教室紹介
■リマ・クッキングスクール
【渋谷本校】 初級コース〜(週1回) 全12回
平  日   11:00〜14:00
       ※曜日によりコースが変わります
イブニング  18:30〜21:00
エンド・土曜 11:00〜18:00
    日曜 09:00〜16:00



●渋谷本校  東京都渋谷区大山町11-5
       TEL.03-3469-7631
●藤が丘教室 横浜市青葉区藤が丘2-5
       TEL.045-973-6555



●姉妹校もございます。
詳しいお問い合わせは、日本CI協会までおたずねください。



■日本CI協会
東京都渋谷区大山町11-5
TEL.0120-306-193 FAX.0120-306-293

取材協力:日本CI協会、リマ・クッキングスクール


ゆるマクロってどんなもの?

『ゆるマクロ』とは何でしょうか?
岡)自分のできる事から始めればいいんですよ。例えば、主食の白米を玄米に変えてみる、とか。肉を毎日食べていたのを週二回にしてみる、とか。とにかく、『続ける』ことが大事なんです。最初から全部完璧にやろうとするから途中で息苦しくなってしまう。百人いたら百通りのマクロビオティックがあっていいと思いますよ。白米から玄米に変えるだけだってカラダはドラマチックに変わるんだから!



岡田英貞先生

今回インタビューをさせていただいた岡田英貞先生。
リマクッキングスクールでマクロビを学び、現在は、東京都目黒区の代官山にある欧風マクロビ料理のレストラン メルロ パノニカのオーナーシェフとして腕を振るう傍ら、母校でゲスト講師も務める。
オーガニック・ビストロ「メルロ パノニカ」
TEL: 03-3464-0100(要予約)

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体質が変わる!?

ドラマチックとはどんな変化があるんですか?
岡)まず、便通が良くなる。玄米は精米していないから、胚芽や皮の部分に食物繊維やビタミン、ミネラルがたっぷり含まれています。それをよく噛んで食べる。玄米は腹持ちもいいし、それだけで栄養たっぷりだから、だんだんおかずも少なくて済むようになる。だから食べ過ぎていた人は、食事量が減ってくる。
 不思議なことに、たくさん食べなくても満足するようになるし、肉を食べたいともあまり思わなくなるんです。それを続けていると、体がスッキリしてきます。
 例えば、肉などの動物性の食べ物は、消化する際、体に負担がかかります。消化には体内の酵素が使われますが、この酵素は体内に一定量しかありません。他にも体を維持するために酵素が必要ですが、消化にたくさんの酵素が使われると、体のメンテナンスができなくなり健康レベルが下がります。だから食べ過ぎると、なんだか体がだるかったり、重く感じたりするのです。消化に負担のかからない食事にすれば、自然と体がスッキリしてきますよ。
体が変わるまでは、どのくらい年月がかかるのでしょうか。
岡)個人差があるので、一概には言えませんが、二週間ほどで実感される方もいますし、半年以上かかる方もいます。体が変わるときに、排毒作用によって湿疹が出たり、体の不調がおこる方もおられるようです。
初めてやってみようという方にアドバイスや注意することなどはありますか?
岡)あまり構えないで、自分のできることから始めてみることです。(図2参照)それと、良く噛んで食べること。一口三十回以上は噛んだ方がいいですね。特に玄米は皮が付いているので、あまり噛まずに食べると消化に悪く逆効果です。
 普段はあまり気に留めませんが、人の体は食べ物から出来ています。食べ物は体を作る材料の中で唯一自分で選択できるものです。自分は何が食べたいか、それは体にとって良いものか。時にはそんな事も考えてみてはいかがでしょう。




図2. 『ゆるマクロ』をはじめてみよう
図2. 『ゆるマクロ』をはじめてみよう


料理の決め手は強火のガス!
なんと言ってもお料理は火力が命。リンナイのデリシアなら、調理もお掃除もラクラク!



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2009年04月号
エコキャップ運動ってなーに?

エコキャップ運動ってなーに?

ペットボトルのキャップを集めることで
発展途上国の子ども達にワクチンを贈る活動に参加できる。
それってすごい事じゃない!?
でも、それってどういう仕組みなの?

 『エコキャップ運動』という言葉を聞いたことがある人はたくさんいるでしょう。SMAPの草なぎ剛さんと韓国のチェジウさんが共演する公共広告機構の「エコキャップ運動」のCMを見た方も多いのではないでしょうか。
 エコキャップ運動とは、今まで捨ててしまっていたペットボトルのキャップを集めてリサイクル業者(企業)に売り、その収益で発展途上国の子供たちにワクチンを寄付しようという活動です。
 2003年頃に始まったこの活動は、小中学生が中心となった学校単位の活動や街ぐるみの地域活動として、今、どんどん広がっています。それにともない、キャップがどのようにワクチンに換わっているのか? 家庭で集めたキャップは、どこで回収してくれるのか? など、問い合わせも多くなっている状況です。
 そこで今回は、エコキャップ運動を分かりやすく紹介していきます。

エコキャップ運動のはじまりは?

 これまでペットボトルの回収は行われてきましたが、回収率は高いものの、再資源化率はとても低いものでした。その理由は、キャップの閉まったペットボトルの中にジュースなどの飲み残しをそのままにすると発酵して、キャップを外した時に爆発する危険性があるということで、再資源化が難しかったようです。そこで、キャップを外して捨てようという動きが高まり、それが発展してエコキャップ運動に繋がっていったようです。(※1)

エコキャップ運動の仕組みは?

 キャップを集めるとなぜワクチンに換わるのだろう? というギモンは誰でも浮かぶのではないでしょうか。その仕組みを分かりやすく図1で紹介します。
 リサイクル業者が集まったキャップを買い取り、そのお金を寄付することでワクチンに換わっているのです。




図1. エコキャップ運動の仕組み
エコキャップ運動の仕組み

認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会より http://www.jcv-jp.org/






エコキャップからどんな物が再生されるの?

 神奈川県横浜市でエコキャップ回収のボランティアをされているグループMATE(マテ)の大久保さんにお話しを伺いました。
 「日本のペットボトルのキャップは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)という純度の高い材質でできています。だから、ただゴミとして捨ててしまうには勿体ない!何か再利用できないものかと探し回って出来上がった物の一つが東京木工所で作っている「エコプライ」です。
 「エコプライ」とは、コンクリートを固めるための枠用ボードです。従来は木枠を使っていましたが、木枠は数回使うとゴミになり、焼却や埋め立て処分されてしまいます。この廃木材を粉々にしてもう一度つなぎ合わせて使えないか? ペットボトルのキャップは粉々にした廃木材をくっつけるための接着剤としてちょうど良かったのです。」
 ゴミになっていた2つの素材が組み合わさって、新しい素材が生まれました。そしてこのエコプライの優れている所は、ボロボロになっても、また粉砕して廃木材とキャップを混ぜることで、ほぼ永久的にリサイクルして使えるという点です。
 エコプライは型枠の用途だけでなく、エコキャップ回収BOXやイス、テーブル、収納棚など、様々な生活用品にも展開されてきています。
 キャップから再生される物は、他にボールペンや化学繊維、百円均一のプラスチック商品などに生まれ変わっています。
〈昭和シェル石油グループでもキャップの回収に力を入れており、エコキャップ運動を推進しています。〉



グループMATEの大久保さん

エコキャップを運ぶグループMATEの大久保さん。1日に300〜500kgものキャップを回収する。




大量のエコキャップ

東京木工所の横浜営業所に集められた大量のエコキャップ。フレコンバッグ一袋には200kgのエコキャップが詰められている。




再生されたエコキャップたち
エコキャップ回収BOXと菊名神社のおみくじケースなど
横浜市の菊名商店街、3ヵ所に設置されているエコキャップ回収BOXと菊名神社のおみくじケースなどは、エコプライでできています。
リサイクルボールペンとエコプライストラップなど
ゼブラ(株)とグループMATEが共同開発したリサイクルボールペンとエコプライストラップなど。

エコキャップから世界へ!

 1日に4千人(※2)。これは、世界中で、ワクチンが無いために、予防可能な感染症で命を落とす5歳未満の子どもの数です。このような子ども達のために、ほんの少しの努力でできることがあるとしたら、私たちの何気ない日常生活にあるペットボトルのキャップを集めることで少しでも何かができるとしたら、とても有意義なことではないでしょうか。
 エコキャップ運動の寄付金をワクチンに換えて途上国へ届けている、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(以下JCV)の森下さんにお話しを伺いました。
 「JCVでは、エコキャップ運動の寄付金で、ミャンマー、ブータン、ラオスの3カ国にワクチン支援をしています。主なワクチンは、ポリオ(小児マヒ)で、一人分約20円。エコキャップは四百個(1kg)で10円換算(全国平均)なので、八百個で一人分のポリオワクチンの予防接種ができます。この20円は、輸送費や諸経費も全て含めた金額なんです。
 私は、保育園から企業まで、JCVの活動のことで講演に伺いますが、その時に必ず伝えていることがあります。それは『エコキャップを増やす努力をしてはいけない』ということです。矛盾しているように聞こえるかも知れませんが、小学生くらいのお子さん達は、競ってキャップ集めに夢中になってしまうことがあります。そうすると、ペットボトル飲料の消費が増えてしまうことにも繋がります。私たちは、なるべくペットボトル飲料を買わないように努力するなど、いかにゴミを無くすかが一番重要だと思っています。」
 キャップの回収からリサイクルを行うまでの工程を一つの地域で行える『地産地消』がエネルギーを最小限に抑えるための一番の理想です。現在も回収団体の方々は環境に対する負担を最小限にするために回収への配慮をしながら、活動を行っています。
 エコキャップの回収については、図2を参考にしてください。
 エコキャップ運動をきっかけに、日本だけでなく、ワクチンや感染症のこと、世界のことにも目が向けられるようになるといいですね。

はしかワクチン接種
©JCV ミャンマーで行われたはしかワクチン接種

(※1)出典:マイクロソフト株式会社/イノ語辞典より (※2)WHO/UNICEF[予防接種白書]2006年より

取材協力:財団法人日本ユニセフ協会、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会、グループMATE(順不同)

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2009年02月号
オーガニックコットンってなーに?

オーガニックコットンってなーに?

オーガニックコットンの商品をこの頃、よく見かけるようになりました。
オーガニックコットンは、地球にやさしい? 肌にやさしい?
普通のコットンと何が違うの?

 オーガニックコットンとは、有機栽培で育てられた「綿」のこと。野菜と同じで、3年間農薬や化学肥料を使わずに栽培された農地で、農薬や化学肥料を使わないで生産された綿花のことです。
 現在コットンを育てるには、非常に大量の農薬が使われています。ですが、それは日本で育てられているわけではありません。日本でのコットン自給率は、ほぼ0%だということを知っていますか?
 コットンの栽培には広大な土地が必要です。アメリカや中国、インド、その他途上国などの気候が暖かい土地で主に栽培されています。
 大きな機械で一気に大量のコットンを収穫するためには、コットンの木の葉っぱを落とさなくてはなりません。そのため、収穫時に大量の農薬や落葉剤が撒かれます。土地や人に与える影響は大きいでしょう。

オーガニックコットンと普通のコットンの違いは?

 収穫された後のコットンは、オーガニックでも普通のコットンでも中身はそれほど変わりません。普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少ないので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することはできないのです。
 では、どうやってオーガニックコットンを区別しているのでしょうか?
 ここで各国にある認証機関の出番です。畑をチェックして、オーガニックであるかどうかを何年もかけて見極め、畑の収穫ごとに認証を与えています。だからオーガニックコットンの製品は、調べれば必ず、いつ、どこの畑でとれた綿を使っているのかがわかるようになっています。

有機綿畑 有機綿畑…日本オーガニックコットン協会提供

綿 左から収穫された綿、タネを取ったあとの綿、製綿されたあとの綿


日本オーガニックコットン協会の認証って?

 日本では、品質表示法でオーガニックコットン製品に対する記載の義務がありません。極端な話だと、オーガニックコットンが使われていない製品でも「オーガニックコットン製品ですよ」と言えてしまうのです。これでは、何を信用して良いのかわかりませんよね。
 そこで登場するのが、NPO法人の日本オーガニックコットン協会(以後JOCA)です。各国でオーガニックの認証を受けて日本に入荷したコットンを改めてJOCAの基準で判断し、認証マークを与えています。製品化して販売するときに、JOCAの認証マークがあれば、品質が確かなことが消費者にも一目でわかります。
 ですが、JOCAは国の機関ではないため、すべてのオーガニックコットン製品に対応しているわけではありません。しかし、オーガニックコットン製品を信頼して購入できるひとつの目安として知っていると心強いですよ。

日本オーガニックコットン協会の認証マーク
2009年4月1日より、3種類で展開してきた認証マークが2種類に変わり、オーガニックコットン100%を使用したものとの区別が明確になります。
【Organic PURE】
【Organic PURE】
オーガニックコットン100%を使用した製品に添付します。



【Organic BASIC】
【Organic BASIC】 【Organic PURE】以外の、オーガニックコットン60%以上を使用した製品に添付します。40%までは、その他の繊維を含めることができ、この中に化合繊を最大10%まで含めることができます。



JOCA参加企業リストはこちら
ここ

人にやさしく、地球にやさしく
 普通の綿花に使われる農薬は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、成長抑制剤、落葉剤などです。世界中で使われている農薬の約11%が綿畑に使われている、という実態をみなさんは知っていますか? 殺虫剤にしぼれば、その割合は24%にも達します。
 そのうち米国の綿花生産は35%を使用しているというデータが報告されています。カリフォルニアでは、農業従事者の農薬による健康被害が毎年千件ほどもあると報告されています。(JOCAホームページより抜粋)
 オーガニックコットンは、現在15カ国以上で栽培されていますが、世界的な綿生産のごく一部にすぎません。もっともっと増えていくことを願っています。



ふとん屋さんと日本の和綿(わめん)

 東京の老舗ふとん屋さんで、現在は70坪の畑に和綿栽培もしている「いづみや」の白井さんに日本綿(和綿)についてお話を伺いました。
 「日本でも江戸時代〜明治くらいには和綿の栽培が盛んで、国内で自給自足できるくらいあったんですよ。今では、二三十種しかなくなっちゃったけど、和綿の種類も二百種くらいはあったと言われています。
 和綿は、アメリカ系の綿に比べて繊維が短いので、今の高速の紡績機械では糸にできません。むかしは手紡ぎをして織物にしたり、『かい巻き』や『夜着(やぎ)』と言われる綿の入った寝具ができて、最終的に『ふとん』が作られるようになりました。」
 今の子どもたちは、自分たちが着ている洋服が元は綿からできていることや綿がどうやってできるかも知りません。だから子どもたちに、いつでも教えてあげられるよう、白井さんは和綿の有機栽培を始められたそうです。
 現在は、ふとん綿に適した「弓が浜」という品種を栽培されています。しかし、70坪の敷地で栽培しても1年で敷き布団1枚分取れるのがやっと。有機栽培だと綿の取れる量も毎年違い、栽培には一喜一憂です。

オーガニックコットン オーガニックコットン


ふとんの打ち直しオーダーメイド

 収穫された綿には、タネが入っているので『棉繰(わたくり)』をしてタネを取り、綿をほぐします。この綿をほぐし、形を整える作業を製綿(せいめん)といいます。
 「いづみや」には日本でも数少ない製綿の自社工場があり、ふとんの打ち直しやオーダーメイドのふとんを作っています。
 和綿のふとんは輸入の綿と違い、輸送時の圧縮による綿へのストレスがないので、ふとんを干した時のふんわり感が違うそうです。
 ふとんは、打ち直しをすることで長く使い続けることができますが、今ではそれができるふとん屋さんは、本当に限られてきました。
 「いづみや」がふとん屋さんらしくない店構えなのも白井さんのこだわりで、お客さまと話をするきっかけができればと雑貨屋さんのような造りになっています。話をするうちに綿やふとんについて興味を持ってもらえたらとの考えからです。


いづみや

写真右)いづみや店内。ふとんやかい巻き、座布団のほか白井さんが集めた雑貨がたくさん並んでいます。
写真左上)綿畑にて、いづみや店主の白井千雄さん。10月頃がコットンボールの見頃。
写真左下)いづみや店舗。ふとんの打ち直しや新しいふとんのことなど、ふとん専門店として相談にのってくれます。


オーガニックコットン いづみや
東京都狛江市中和泉2-15-1
TEL:03-3489-1711



日本のオーガニックコットン

 全国でも有機栽培で和綿を作っている方はとても少ないです。しかし、和綿を絶やさないよう、大切に毎年育てている方もいます。
 日本のオーガニックコットンも、もっとたくさんの人に知ってもらい、広がっていくといいですね。



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